“ブログ史上最悪”Hagexさん刺殺は言論へのテロか?

24日、福岡市で開かれたITセミナーで講師の男性が刺殺された事件。25日午後になって殺された男性がネットウォッチャー・ブロガーとして知られる「Hagex」さんであることが新たに分かりました。ネット上には事件につながったとみられる2人の接点が残されていました。ネットの世界とリアルが交錯して起きてしまった事件。なぜ殺害にまで至ってしまったのでしょうか。

パトカーと大勢の警察官で騒然とする福岡市の繁華街。24日午後8時前、福岡市中央区の起業支援施設でITセミナーの講師・岡本顕一郎さん(41)が男に背中を複数回、刺されて死亡しました。亡くなった岡本さんはインターネットセキュリティー会社の社員で、現場となった施設でネット炎上やトラブルについてのセミナーを開催。事件はその終了直後に起こりました。所属会社の社長は。
所属会社社長・高野聖玄さん:「非常に人付き合いが良いといいますか、とっつきやすい人間だったので、今回のような事件に巻き込まれるのは信じられない思いです」
 
警察は刺した男を追っていました。市内の交番に男が出頭。警察は出頭してきた福岡市東区の無職・松本英光容疑者(42)を殺人などの疑いで逮捕しました。事件の背景には、亡くなった岡本さんのもう一つの顔が関係していました。松本容疑者は動機について…。
松本英光容疑者:「岡本さんとネット上でやり取りがあり、恨んでいた」
 
インターネット上のトラブル。岡本さんは、Hagexという別名で、炎上商法に苦言を呈すなどネットウォッチャー、炎上評論家として活動していたのです。実は松本容疑者は、一部のインターネット上で「低能先生」と呼ばれていた人物とみられていて、Hagexこと岡本さんとインターネット上でトラブルがあったといいます。低能先生は一部、インターネットかいわいで誰かれ構わず「低能」などと誹謗(ひぼう)中傷を浴びせ、逆に「低能先生」というあだ名が付いたといいます。そして、犯行直後の松本容疑者とみられる人物の書き込みも。インターネット上で交流があり、酒を酌み交わすこともあったというネットニュース編集者の中川淳一郎氏は岡本さんの人柄について。
岡本さんと親交があった編集者・中川淳一郎さん:「Hagexさんは、もともとネットで有名な方でした。ネットウォッチャーの第一人者。私は勝手にネットウォッチャー四天王という言い方をしていたんですけど、そこに入っている1人がHagexさんだった。初めて会った時に楽屋だったんですよ。その時にニコニコしていて、Hagexというハンドルネームを使っているからハゲだと思っていたらハゲていなかった。それで『お前ハゲてねえじゃねえか』と突っ込んで、『いやいや』ってやる感じの印象があって本当に物腰の穏やかな方で、ネットでは攻撃的ですが、彼はダブルスタンダードが許せないタイプ。インターネットをより発展させたいという気持ちがあったのは間違いない。愉快犯的なところもあったけど、悪口を書くことはあったけど、とどめはささない。何とか読み物として面白くしようとは考えていたと思うんですよ。彼もHagexとは別の本名で、ネットセキュリティとかIT秩序とかそういうことで活動しようと思っていた矢先、WEB上でHagexとは別の岡本って名前で、羽ばたく直前の人が何でこうなるのって寂しいし、悲しいし、残念です」
 
今回の事件については。
岡本さんと親交があった編集者・中川淳一郎さん:「今回のネットでもリアルでもって言ってるようなことではなくて、ちょっとやばいやつだった。やばいやつって実際、リアルで会ったら分かる。目つきがやばいなとか、ぼそぼそつぶやいてたとか、ネットだと分からないんですよ。そこが。それが恐ろしいところだと思います。絶望的な結論ではありますけど、いかに誰かから恨まれない、ないしは誤解されない、逆恨みをされないという人生を皆送るべきじゃないかなと思うんですね。そういう姿勢に立った場合にネット上で積極的に発言することがデメリットっていう考え方が広がる可能性がありますよね。ペンは剣よりも強しっていうけど、そんなのはどうでもいいです。人の命のほうが大事です。Hagexさんの低能先生を通報したというブログが殺意の導火線だとしたら、あれを書かなければよかったと思うし、世直ししたいとか正義を世に問うていきたいと思っているネットのSNSユーザー、ブロガーっていっぱいいますけど、割に合わねえなと」
事件を受けて「はてなブログ」は、来月1日に東京で開催が予定されていたブロガーイベントの中止を発表しました。参加者の安全を考慮してのことだといいます。

2018/06/25 21:05
テレ朝ニュース
http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000130334.html